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私がトキシック・オイル症候群(Toxic Oil Syndrome)のことを知ったのは、 10年前であった。1980年にある小児科医により、記載されたのが最初であった。 その疾患は全くの新しいものであり、数千人に影響したので関係者を恐ろし がらせたものであった。その後、優れた疫学的研究が、基礎免疫学および 中毒学の研究者の協力のもとに行われ、その原因が突きとめられた。さらに、 予防策も講じられた。しかしながら、この話はこれだけで終わったわけではなく、 さらに不思議なことが発見されていった。この病気の晩期症状として、 自己免疫的リウマチ反応を起こすことが認められた。今までのところ、 これはある種の毒性因子が原因で起こり、その因子が宿主感受性(HLAマーカー) に基づいて作用することが判明しており、さらに研究が進められている。かくて、 基礎的なデータ収集による疫学的研究により、ひとつの新しい疾病が同定された。 基礎疫学と宿主感受性とを結びつけた研究により、病因の解明が成し遂げられたの であり、実際に多くのHLA関連自己免疫疾患へと応用されている。